シャッターアイランドのストーリーを徹底解説!:映画「シャッターアイランド」徹底解説サイト

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「シャッターアイランド」のストーリーを徹底解説!

※ネタバレ前提の内容です。ご注意ください!


ここでは、映画「シャッターアイランド」のストーリーを徹底的にご紹介します。


■オープニング[解説

1954年。

荒れ模様の海を、1隻の船が進んでいる。

船の中では、船酔いのため、洗面台で戻している男がいる。連邦保安官、テディである。

テディは、この任務で初対面となった、相棒のチャックとともに、外界から隔絶された孤島、シャッターアイランドにある「アッシュクリフ病院」へ向かっている。

テディはアパートの火災で奥さんを亡くしたらしい。


■入島[解説

島に着いた彼らは厳重な警備の中「アッシュクリフ病院」へ向かう。

その施設は、精神を病んだ犯罪者を収容するための施設であった。

高い壁の上の鉄柵には逃亡防止のためか電流が流れているというテディ。

施設内は、何人たりとも銃の持込はできないと言われ、テディは抗議するが、結局銃を職員に渡すテディとチャック。


■レイチェル失踪事件[解説

施設の責任者、コーリー医師と話すテディとチャック。

話によると、レイチェルという名の女性患者が、施錠された部屋から忽然と消えたらしい。

22時から24時までの2時間の間に姿が見えなくなっており、どう考えても誰にも見られずに、しかも鍵がかかったまま姿を隠すことなど不可能な状況のようだ。

レイチェルは自分の子供3人を殺した罪で服役していて、この施設を自分の家だと思い込み、他の患者は近所の人たちなどと認識しているらしい。

島中探したが見つからなかったという話まで聞き、テディは早速レイチェルの病室の調査を始める。

室内には靴が残っており、裸足で出て行ったと考えられる。島は裸足で歩くには辛い環境だ。

そしてテディは、床のタイルの隙間からメモを見つける。

「4の法則 67番目は誰?」と書かれていた。(The law of 4  Who is 67?)


■捜査[解説

島の捜索を始めるテディとチャック。

洞窟、灯台など、どこにもレイチェルはいない。

レイチェルがいなくなる前の状況を聞き込んだところ、グループ治療を行っていたことがわかる。

それ以外は、レイチェルが雨のことを心配していた、とか、食事について不満を言っていたなどと、大した情報はつかめない。

レイチェル主治医のシーアンにも事情を聞きたいと申し出るテディだが、シーアン医師は休暇で島を出ていて、なおかつ嵐で電話が不通なので電話連絡も取れないらしい。

院長の屋敷に招かれたテディは、そこでナーリング医師と会い、子音の強い発音から彼がドイツ人と見抜く。テディは戦時中ナチス制圧の部隊にいただけに、ドイツには良い思い出がないらしい。

ナーリング医師に個人情報の提供を断られ激高するテディは、明日一度帰ってからFBIに捜査報告書を出すと申し出るテディ。

この時テディは、レイチェル失踪には誰かが手を貸していると睨んでいて、FBIの話を持ち出すことにより、何らかの動きがあるのを狙っていた。


■テディの夢1[解説

テディは夢を見ている。

夢の中の妻に「君は本物?」と聞くと「いいえ」と答える。

妻は腹から血を流し、下半身が血まみれになる。

彼女が言ったことは以下の通り。

 「彼女はここいる」(レイチェルのこと)

 「彼もいる」(「彼?」と聞くテディに「レディス」と答える)

突然、抱きしめていた彼女の体が燃え尽きた炭の様に、灰と化してしまうが、なぜか手は水で濡れている。

目が覚めるテディ。

部屋は雨漏りをしていて、テディは濡れていた。


■ロボトミー手術[解説

結局、嵐によってフェリーが出ないということになり、聞き込みを続けるテディ。

聞き込む内に、コーリー院長からこの病院内の派閥について耳にする。

保守派は、暴力的な患者は速やかにロボトミー手術を受けさせろ、という考えで、改革派は投薬治療を謳っているという。コーリー院長自身は改革派であるようだ。

院長によると、レイチェルは投薬では症状が改善されなかったという。

院長の話し方が過去形であることに触れると、院長はこの嵐では脱走者が助かるはずがないようなことを話す。


■患者への事情聴取[解説

テディはグループ治療に参加した患者から事情聴取をすることにする。

まずはピーター・ブリーンという男性患者。

女性の顔をガラスの破片で切り裂いた罪があるという。

レイチェルの事を聞くと、自分の腹を痛めて産んだ子を殺す女なんてガス室送りにしろ、などという。

テディは話を聞きながら、メモに鉛筆をゴシゴシ押し付けて嫌な音を出す。その鉛筆の音にピーターは耳を塞ぐ。

テディは嫌がるピーターがやめてくれ、と叫ぶまで鉛筆の音を聞かせ続ける。

レディスという男を知っているか、と聞くと、ピーターは知らないと即答して、怒って席を外す。

次はカーンズという女性患者。

女性患者は水が飲みたいと言って、チャックが水を汲みに行った隙に、テディのメモ帳に素早く何かを書き込む。

チャックが水を持って帰ってきて、事情聴取が再開される。レディスという患者を知っているか、という質問をしたところ、女性患者は怯えたように震えだし、席を立って帰ってしまう。


■テディの目的

テディとチャックが話している。皆に質問していたレディスとは何者だ、とチャックはテディに聞く。

俺がやっていることは任務外だ、と言いながらテディはチャックに話し始める。

テディは、レイチェル失踪の事件の話を聞いたとき、真っ先にその事件の担当になることを申し出たという。

その理由は、妻の死にあった。

レディスは、彼女とテディが当時住んでいたアパートの修理人であり、そして放火魔だったという。彼女はヤツがすったマッチで火事が起こり、彼女が焼死したのだという。

そして、行方をくらませていたレディスが、その一年ほど前の新聞に載っていたのだという。学校に放火し2人が死亡。そして現在この施設に収容されたという情報を掴んだそうだ。

しかし、この施設に入ってから後の記録が一切無くなっているという。

テディは、レディスはC棟に入れられていると推測している。


■墓場での話[解説

テディとチャックは墓場にやってくる。

もし、レディスでもレイチェルでも何らかの理由で既に死んでいる場合、こっそりここに埋めてしまえば誰にも分からない、と考えたからだ。

チャックは、先ほどの事情聴取の時に、女性患者がメモに何か書いていただろ、と尋ねる。

メモには「逃げて」(RUN)と書かれていた。

そうこうしている内に、2人は竜巻に襲われ、教会のような場所に逃げ込む。

竜巻が去るのを待っている間、テディはチャックと話す。

レディスを見つけてどうする?と聞くチャックに、殺す気はない、と答えるテディ。

テディはチャックにドイツ時代の話をする。

収容所を占拠すると、ナチの司令官は自決したが失敗して1時間以上苦しんだ。外では女子供の死体が雪の中に山になっていた。

ドイツ兵を並ばせている時に、1人の敵兵が走り出し、それへ向けた発砲が原因で、誰もが発砲を始め、並んでいるほとんどの無抵抗の兵を射殺してしまったというのだ。

あれは戦闘ではなく、殺人だった、俺はたくさんの人を殺したという。そしてもう殺人はゴメンだというテディ。

チャックが、ではここに何をしに来た?と聞くと、レディスの件でここを調べ始めたが、多くの人間が誰も怖がって本当のことを話そうとしない。

そして、チャックに自分が知っている情報を話す。

この施設の資金源は、赤狩りの"非米活動委員会"だという。

こんな島で共産主義と戦うのか?と聞くチャック。

人間の精神を操る実験を行っているはずだ、というテディ。

ジョージ・ノイスという社会主義の学生が、実験のアルバイトをした際、幻覚を見てしまって教授を半殺しにして逮捕された。

そして、ここのC棟に収容され、1年後に退院。しかし、退院から2週間後に酒場で3人の男を刺し殺したという。

弁護士は精神喪失を主張したが、本人は、病院に戻るくらいなら死刑にしてくれ、と希望し、結局は終身刑になったのだという。

彼に面会したらボロボロの人間だった、しかし彼の話で、ここで人体実験が行われていることが分かったという。

チャックは、ノイスの言葉だろ?というが、テディは、そこが巧妙で、精神が病んだ者の言葉は誰も信じない、と言う。

テディはその証拠を掴み、ここで行われている事を暴露して、ぶっ潰してやる、という。

チャックはテディに対し、ボスがここを調べていたら事件が起こって保安官が呼ばれたのは都合が良すぎる。黒幕は政府で、ボスはハメられて、ここに誘導されたのではないか?と指摘する。

そもそも我々はレイチェルが本当に存在していたかどうかも知らない。あるのは彼らの証言だけだと。

もしそうなら、つまりここの人間にはテディの考えは筒抜けという事になる。

その時、嵐の中、警備副隊長が車で迎えにきた。見つかったのだ。

テディはチャックに、こんな島逃げ出そう、と言う。とりあえず、迎えの車に乗り込むテディ。

院長が待っているそうだ。ハリケーンが来ているので急げ、と言う警備副隊長。


■レイチェルの発見[解説

シャワーを浴びたテディとチャック。

服は濡れてしまったので、職員の服に着替えることになる。タバコもグチョグチョだったということで、チャックは職員からタバコを1箱もらった。

院長をはじめ、医師らが出席している会議では、ハリケーンに備えてC棟の患者には拘束具を用いるべきだという意見が上がっていた。建物が浸水したら溺れる、と反対するコーリー医師。

建物が浸水したら溺れてしまう、と反対するコーリー医師。停電したら、病室の錠が開いてしまう危険がある、という意見が上がる。そうなると我々が危険だと。

テディとチャックは、その会議に入っていき、脇に控えて話を聞いていた。。

拘束は死をもたらす。24人の人間が死ぬかもしれないんだ、とあくまでC棟の患者の拘束に反対するコーリー院長。

ナーリング医師は、私ならA棟とB棟の42人の患者にも拘束具を付けるね、と言う。

テディは突然その会議に割り込む。メモの2行目「67番目は誰?」の意味が分かったという。

先ほどの話から、A・B・C棟の患者は全部で66人。つまりメモは、もう1人患者がいることを示唆しているというのだ。

院長はそれは違う、と言う。

そして、レイチェルが見つかった事を知らないのかね、と言う。彼女は戻ってきたのだ、という。

急行してみると、確かにレイチェルとされる女性がいるにはいるが、何を聞いてもまともな会話にならない。

テディのことを死んだ夫のジムといい、淋しいといって抱きついたかと思えば、ジムは死んだ、あなたは誰!と凄い剣幕で突っかかってくる。

レイチェルは看護師に取り押さえられ、放心状態のテディはチャックに付き添われて部屋を出る。

先ほどのチャックの指摘もあるが、これではこの女性が本当にレイチェルなのかどうか、テディに確認する術はない。


■テディの夢2[解説

天候は荒れていて、外は凄い稲光だ。

コーリー院長は、テディたちに嵐が来るので地下に避難しておいてくれと言う。あそこは安全だ、と。

稲光が凄い。テディは酷く眩しがるので、コーリーは偏頭痛の原因は光に過敏だからかも、と言って薬を出す。

テディは頭を押さえ苦しむ。薬を飲ませ、コーリー院長はチャックに、寝かせよう、と話す。

チャックと看護助手が肩を貸し、地下にのベッドで横になるテディ。

ドアのところに目つきの鋭い警備員が立っていた。テディがその人物が警備隊長だと教えてもらう。あいつは絶対元軍人だ、と言うテディ。

眠りに落ちたテディは、また夢を見る。戦時中の夢だ。

雪の中、死体が積み重なっている。母親と女の子の下を見ながら通り過ぎるテディ。

振り返ると母親が目を開けて見ている。やがて女の子も目を開ける。

2人の死体がゆっくりと起き上がる。「私達を助けず・・・・・・、私達を殺したのよ・・・」という声が聞こえる。

場面は変わり、音楽が聞こえている暖炉のある部屋。先日ナーリング医師が座っていたのと同じ部屋だ。

暖炉の前に座っているレディス。

レディスはマッチをすってテディのタバコに火をつけ「俺を恨むなよ」と言い、「コイツが飲みたいか」と酒の缶を見せる。

酒の缶を見ていると、レディスがいつの間にかチャックになっていた。「時間がないぞ」と言うチャック。近くで悲鳴が響いた。

チャックが消え、悲鳴がした先に血まみれの女が立っていて「手を貸して」と言っている。

彼女の足元には、3人の血まみれの子供が倒れている。

血まみれの女の子を抱き上げたテディ。死体の女の子は「私、死んだの?」と言う。

「すまない」と言うテディ。「なぜ助けなかったの?」という女の子。

「助けに行ったんだ。だけどあそこに行った時には手遅れだった」というテディ。

女の子を抱えたまま部屋の中を進んでいくと、いつの間にか湖畔に来ている。

血まみれの女と一緒に、湖に入って行って、女の子を水に沈めるテディ。周りには2人の少年の死体も浮かんでいた。

「見て、可愛い子たち」という女。沈んでいく女の子がじっとテディを見ていた。

不意に目覚めるテディ。

地下室のベッド。皆寝ている。嵐が窓を叩いている。テディは手帳を取り出した。

その時、扉が開いて、嵐の中誰かが入ってくる。

それは、死んだはずの妻ドロレスだった。

テディは立ち上がり「びしょ濡れだよ、ベイビー」という。

彼女は「レディスは生きている。ここにいるの。捜し出して殺すのよ」とテディに言う。頷くテディ。

これも夢だったのだ。今度こそ目覚めるテディ。

目が覚めると、施設は停電になっていた。しかもその影響でロックが解除されてしまい、患者が脱走している状態になっていた。


■C棟[解説

この混乱に乗じて、テディとチャックはC棟へと侵入する。

C棟に入ると警備員に「脱走した患者の大半は捕まえたけど、まだ居るぞ。自分達だけで捕まえようとしたら殺されるぞ」と警告される。

C棟を進むテディとチャック。テディは「感じる。レディスはここに居るぞ」と言う。

突然上半身裸の患者が現れ、「バアッ」と2人を脅かす。そして「捕まえてみろ!」と言って逃げる。テディは患者を追う。チャックも追うが、見失ってしまう。

テディは隠れていた患者に襲われ、引きずられ、そして押さえつけられる。

患者はテディに言う「俺はここを出たくない。シャバで何が起こっているか知っているぞ、太平洋の水爆実験、水爆を知っているか」と。

「水素の爆弾だろ」と何とか答えると、「普通の爆弾は外に向かって爆発するが、水爆は中に爆発するんだ」と患者は言う。

払いのけたテディは、その患者を執拗に殴りつけ、首を絞める。

チャックが駆けつけ、何をしてるんだテディ!と言って、やめさせる。

駆けつけた警備員も、テディに対し「ビリングスだ!お前殺す気か?捕まえりゃいいだよ!」と怒鳴りつける。

チャックは「襲われたんだ」とテディを擁護する。

殴られた男はチャックと警備員が医務室へと運んでいく。テディがついて行こうとすると、お前は来るなと警備員に拒否される。心配そうにテディを見るチャック。

一人になったテディは、さらにC棟の奥へと進む。

レディス、という声がどこからともなく聞こえる。テディはマッチをポケットから出して火をつける。

暗闇をマッチの火を頼りに進むテディ。

薄暗い牢獄のような病室が通路の両脇に続いている。狂気に満ちた患者たち。まるで地獄のようだった。

「レディス・・・、ここには戻さないと言ったはずだ・・・・・・、約束したはずだ・・・」と言って頭を抱えてる患者がいた。

「レディス」と声をかけるテディ。

「笑わせるな、俺を忘れたのか、俺の声も。あれだけ話をしたのに」と言う男。

「顔を見せろ」と言うテディ。「また嘘をつくためか?真実のため?」という男。「真実を暴く」とテディは言う。

「アンタ自身と!・・・レディス。それが核心だ。俺は脇役さ」男は言って立ち上がる。

「ただの糸口だ」と言って立ち上がり、近づいて来たのは、終身刑になったはずのジョージ・ノイスだった。結局ここに連れ戻されていたということだ。

彼の顔が腫れあがっているのを見て「誰にやられた?」と聞くテディに、ノイスは「お前にやられたんだ」という。

「お前が喋ったから刑務所からまたここへ連れ戻されたんだ」というノイス。

「すべて調べて出してやる」というテディに「一度は出られても二度出るのは無理だ」というノイス。

ヤツらはお前の計画全てがお見通しだ、というノイス。

これは、お前の為に仕組まれたゲームだ。真実を暴く?お前は迷路に入れられたネズミだ。ここに来て1人になったことがあったか?と言うノイス。

「チャックと一緒だった」とテディが言うと「前の相棒じゃないだろ、初めて組んだヤツなんだろ?」と言うノイスに「アイツは信用できる」と言うテディ。

「やつらの勝ちだな」と返すノイス。つまり、ノイスはチャックも病院の回し者だと言いたいのだ。

ヤツらは、俺を灯台に連れ行って脳を切り裂く。それもこれもお前のせいだ!と叫ぶノイス。

テディは、必ず助けてやる、真実を知り、レディスも殺さない、と言うと、ノイスは無理だ、どちらかを選ぶことになる、と言う。

ノイスは、彼女は死んだんだ。もう忘れろ。と言う。

テディは、ノイスが喋っている後ろに、ドロレスの姿を見る。

「彼に話して。あのロケットをくれた日・・・。幸せすぎて胸が張り裂けそうだったわ」と話すドロレス。ノイスは、彼女はお前をおかしくさせている。彼女に殺されるぞ、と言っているがテディは妻の姿しか目に入っていない。

真実を知りたければ彼女のことは忘れろ、というノイスに、そんなの無理だ!と言うテディ。

ノイスの話した内容から、レディスが処置の為に灯台に連れて行かれたことを確信したテディは、チャックと合流し、C棟から出る。


■崖[解説

チャックはレディスの受入票を探し出してきたという。テディに見せるが、なぜか「後で見る」と言うだけだ。

灯台への道を探すが、道を間違えたりとなかなか辿り着けない。

チャックは「レディスの受入票があるんだぜ、彼らの否定した67番目の患者のだ」と言うが、テディは「俺は、灯台に行く」と聞かない。

こんな暗い中、あの岩場を下りるなんて自殺行為だ、と言うチャック。嫌なら来なくていい、と言うテディ。

「俺はアンタのためにこの島に来て、頼れるものも他にないのに、アンタはまるで・・・」とチャックが言うと「まるで、何だ」と詰め寄るテディ。

「C棟で何があった?」と言うチャック。

「俺は一人で灯台に行く」とテディが言うので「俺も行くよ」とチャックが言う。しかしテディが押し留め、「一人で行く」と言う。

森を迂回して灯台の近くまで来たが、崖があり結局行くのは無理な状態だったので、チャックの居る場所へ戻るが、そこにはチャックの姿が見えなかった。

恐る恐る崖の下を覗き込むと、チャックは転落して倒れている。

何とか崖を降りていくテディ。

下りていく途中で、チャックが持ってきていたレディスの受入票が風に舞ってくる。テディはそれを掴む。

やっと下に降りたと思ったら、倒れているはずのチャックの姿が無くなっている。

凄い数のネズミがいた。見上げると、崖の途中に洞窟があり、火の明かりが見える。

崖の途中に洞窟があったので、そこに入ると、そこには一人の女性がいた。


■洞窟の女性[解説

女性は足を怪我しているのか、動きにくそうに焚き火の向こう側でテディに対して警戒をしている。後ろ手に何かを隠しているようだ。

テディは名乗って、警察だといい、後ろに隠しているものを見せてくれと頼む。女性はナイフを見せて「これは渡せないわよ」という。頷いて焚き火に当たらせてもらうテディ。

あなたが本当のレイチェル・ソランドーか、と尋ねるテディ。子供を殺した?とテディが聞いた。

私には子はおらず、結婚もしていない。そして、患者になる前はここの医師だったと答える女性。

女性が、私が病気に見える?と聞く。テディは、まさか、全然見えない。と言う。女性は、そう言ってくれても意味ないのよ、と言う。

精神科で「病気」と診断されたら、あとは何を言っても病気のせいになる。という女性。

何があった?と聞くテディに、最初の疑惑はアミタールとアヘンを使った幻覚剤の購入という。テディは精神治療薬だね、と言う。

手術にも疑問があった。ロボトミー手術を知ってる?と聞く女性。患者に電気ショックを与え、目をアイスピックで刺して脳神経を取り出す。患者は従順になり、扱いやすくなる。残酷で非人道的な手術よ。という女性。

痛みはどこから入ると思う?と聞く女性に、傷口かな、と答えるテディ。女性は肉体ではなく、脳よ。と言う。恐怖、睡眠、空腹、怒り、感情、すべて脳の働き。それらを他人が制御したら?人間を改造して痛みを感じないようにも出来る。愛も共感も感じない。記憶はすべて消されて、尋問しても何も告白できない。話し続ける女性。

記憶を消し去るなんて不可能だ、と答えるテディ。北朝鮮は米兵を洗脳して脳を破壊し、兵士は裏切り者に変えられた。ここで造られているゾンビも、外の世界に出て、狂気を働く。と言う女性。

そんなことを実現するには、長い歳月がかかる、というテディ。何年もかけて、何百人もの患者で実験できる。50年後には人は、この島を指して言うでしょう。”あそこが始まりだ”と。と言う女性。

ナチスはユダヤ人を、ソ連は囚人を、そしてこの国はシャッターアイランドの患者を実験台にした。という女性。

テディは、絶対に許せない、と言う。

女性が、でもアナタは島を出られない、と言うと、連邦保安官を誰が止められる、と返したテディ。女性は、私は一流の精神科医で家柄も良かったが、この通りよ。と言う。

彼女はテディにトラウマがあるか聞く。あると言うと、トラウマが正気を失う要因にされる、と言う。

頭が痛かったり、変な夢を見たり、眠れないなんてことがない?と聞く女性。偏頭痛がある、とテディが言うと、なんてこと、と言う女性。

アスピリンなどの薬を飲まなかった?と言う女性。アスピリンをもらったと答えるテディ。

島で取った食事やコーヒー、もらったタバコに薬が仕込まれているはずだ。幻覚などを見ただろうなどと言う。

精神治療薬の効果が出るのは服用後36〜48時間。まず痺れが指先から手に広がる、そして悪夢の中にいろんな人が現れる。という女性。テディは自分の指先が痺れていることに気がつく。

あの灯台で一体何が起こっているんだ?と聞くテディ。脳の手術よ、と答える女性。頭蓋骨を開けてここをいじろう、とかナチスから学ぼうなんて事が行われてゾンビが誕生している、と言う。

テディは、その事を島で知っているのは誰だ?と聞くと、女性は全員知っている、と答える。

テディはいつの間にか寝ていて、彼女に起こされた。彼女はテディを追う人たちに見つかりたくないので出て行けと言う。そして、後から迎えに来ても毎日場所を変えて隠れているのでここには居ないと言う。

テディは最後に、昨日友達と別れ別れになってしまったのだが、見なかったか?と聞いた。女性は、あなたに友達なんていない、と答える。

再び崖を上り、上に辿り着くテディ。


■灯台へ[解説

森の小道を歩いていると、ジープが通りかかり、テディの前で停車する。警備隊長が運転していた。彼はテディに、戻ると思った、乗れよ、と言う。

警備隊長は、暴力は神からの贈り物、など暴力についての話をテディに聞かせる。嫌悪感を抱くテディ。

「院長は君を無害だと言っているが、私は違う」という警備隊長。テディが俺のことをよく知りもしないで、と言うと、知っているさ、良く知っている、何世紀も前から知っているように知っているぞ、という警備隊長。

テディが病院に戻ると、会議が終わったのか、ドアからゾロゾロと職員が出てくる。なぜか患者のピーターとカーンズも居る。

なにやら皆の様子が違って、テディを観察しているような目で見ている。

テディを見つけた院長が寄って来て、レイチェルは見つかっているので、君はもう帰るかね?と聞く。テディは、そうします、と答える。

人ごみを見つめて、会議ですか?とテディが聞くと、院長は頷き、昨日C棟に侵入者があって、凶暴な患者を簡単に料理したそうだ。と言う。

ジョージ・ノイスという患者とも話をしたそうだ。と言う院長。テディは、そのノイスという男、もしかすると幻覚症では?と言う。院長は、ああ、しかも厄介でね。2週間前も、彼の言葉に怒った患者にボコボコにされたんだ、と言う。

吸うかね?と院長から差し出されたタバコを、テディはやんわりと断る。

「相棒の居場所を知りませんか?」とチャックの居場所を聞くと、院長は「君は一人で来た」と言い出す。

テディは、女医からの警告を思い出し、チャックの事は以後、口にしないようにする。

チャックの存在すら消し去ろうとし始めた病院側に、テディはどうやっても灯台に行って真実を暴こうとする。

シャワーを浴びて着替える時、職員の目を盗んで、クリーニング済みの自分のネクタイをこっそりとポケットに入れる。

外へ出ようと廊下を歩いていると、向こうからナーリング医師が来る。ナーリングが保安官、どこへ?と聞くので、フェリー乗り場へ、と答えると方向が逆だよ。と言われ仕方なく引き返そうとする。ナーリング医師が「ちょっと待て、誰かに案内をさせよう」と言って、ポケットに手を入れて近寄ってきた。テディは、ナーリング医師のポケットの手を掴んでひねり上げる。その手には注射器が握られていた。テディはそれを取り上げ、これは何だ、ん?と詰め寄る。ナーリング医師は胸倉をつかまれて壁際に押し付けられる。鎮静剤だよ、念のためだ、と言うナーリング医師。ナーリング医師は、語ることによりテディの気をそらそうとする。トラウマの語源はギリシャ語の”傷”。”夢”をドイツ語で言うと”トラウム”。心の傷はモンスターを生む。君は傷を負っていて、モンスターを見ると自分を抑えられず、つかみかかる。などと話すナーリング医師。その通りだ、とナーリングを見据えたテディは、いきなりナーリング医師の腕に注射器を突き立てる。

ナーリング医師を眠らせて外に出た。まず、近くにあった院長の車を発見したテディは、持ってきたネクタイを車のガソリンタンクに仕込み、車の中からあったマッチを見つける。作業中にドロレスが現れて、何してるのフェリーに乗るのよ、と言うが、テディは、いやまだダメだ、チャックが死んだことにされて実験台になってしまう、と言う。となると、隠されているのはあそこだ、と灯台を見るテディ。ドロレスは、殺されるわ、と言うが、相棒を見捨てられない、俺にはあいつだけなんだ、と言って聞き入れないテディ。行かないで、お願いよ、と懇願するドロレス。作業をしながら話していたテディは、手を止めてドロレスを見る。ごめんよ、君のプレゼントだけど、正直言って悪趣味なネクタイだ、と言う。そしてマッチをすり、ガソリンタンクに差し込んだネクタイの端に火をつけた。

物陰に隠れて、車の爆破の成否を見守っていると、車の前にドロレスが立っていて、彼女に寄り添うように、女の子も歩いて来きて手をつなぐ。テディは、どけ、とつぶやく。そのまま車は爆発炎上し、2人は炎の中に立っている。

職員らが爆発に気付いて、駆け寄ってくる。彼らの目を引き付けてから、海へ走り、泳いで灯台へと向かうテディ。


■灯台にて[解説

灯台のある岩場に辿り着くテディ。

灯台の近くにいた警備の男を引き倒して銃を奪い、殴って気を失わせる。

灯台の中に入るテディ。

灯台の中には、怪しげな手術室などがあるのかと思いきや、普通の灯台で、上へと向かう螺旋階段があるのみ。

階段を上がっていき、途中の小部屋をいくつか見るが、何もない小さな空き部屋だ。一番上にある部屋に入ると、そこには院長がいた。

ビショ濡れだよ、ベイビー。と夢の中でテディがドロレスにいった言葉で出迎えるコーリー院長。

銃をつきつけるが、院長は、その銃には弾は入っていないよ、と言う。テディが調べてみると、本当にカラだった。

座りたまえ、と椅子を勧められるテディは、机の上に、施設に入る際に預けた自分の銃が置いていることに気付く。

警備員を襲ったのかね?と聞く院長に、テディは、何のことを言っているのか分からない、と答える。院長は電話を取り、彼はここだ。シーアン医師にけが人を見せてここへ来るように伝えろ、と言う。

シーアン医師が帰ってきたのか、とテディが言うと、帰ってきたわけではない、と言う院長。

愛車が木っ端微塵だ、と言う院長に、そりゃお気の毒に、と言うテディ。

痙攣が起きているな、幻覚症状は?と聞く院長。またドロレスの声がする「逃げて、テディ。でないとおしまいよ」と。部屋の隅の暗闇に彼女が立っていた。テディの痙攣を見て、症状が悪化している、と院長が言うと、テディはソランドー医師から精神治療薬の話を聞いた、と言う。彼女が?いつのことだ?と聞く院長。洞窟でのことを言うテディ、そしてもうそこには彼女は居ないであろうことも。彼女は幻覚だから、居なくて当然だ、と言う院長。

思ったより重症だな、と言う院長。君は精神治療薬どころか、薬は何も飲んでいないよ、と言う。じゃあ、この痙攣はなんだ?と自分の手を見せるテディ。それは、禁断症状だ、と答える院長。酒は一滴も飲んでない、と言うテディ。クロルプロマジンだ、という院長。過去24ヶ月君に投与し続けてきた、と。この2年、ボストンにいる俺に薬を盛ってたってことか、と言うテディ。ボストンではない、ここでだ、と言う院長。君は患者として2年前からここにいるんだ、と言う。

ここの秘密を知った俺を”正気じゃない”と言う気か?相手を選べ、俺は連邦保安官だぞ、と言うテディ。院長は、連邦保安官「だった」だよ、と言う。この受入票のコピーを見たまえ、67番目の患者を示す”証拠”で、施設の実態を暴くんだろう?読む時間がなかったようだから、ここで読め。と言って書類をテディに渡す院長。

”患者は知的で極めて妄想が強い。ダッハウ収容所解放に立会い、元連邦保安官。暴力的性向。自分の犯罪行為を否定し、自責の念はない。物語を創作して、自分の過去から逃避。”読み終えたテディは、書類を投げ捨て、くだらん、相棒はどこだ、チャックは?と言う。かなり激高している。

院長は立ち上がり、話を変えよう、と言った。奥さんの旧姓はチャナル(CHANAL)?と聞く院長。関係ないだろ、と突っぱねるテディ。関係あるのだ、と言って布がかけてあったボードから布を取り払う院長。

そこには、4つの名前が書かれていた。自分とレディス。妻とレイチェルの名前がペアで書かれている。

テディの「EDWARD DANIELS」という名やレイチェルの「RACHEL SOLANDO」という名は、アンドリュー・レディス「ANDREW LAEDDIS」と妻のドロレス・チャナル「DOLORES CHANAL」のアルファベットを並べ替えた、アナグラムで作られた名前であるという。(4の法則とは4人の名前がアナグラムであることを示唆していた)

馬鹿げた細工だ、というテディに、院長は、真実を暴きたいんだろう?67番目の患者とは、君のことなんだよ、アンドリュー・レディス。君の名はアンドリュー・レディスだ、と言った。

嘘だ・・・、とつぶやくテディに、院長は語り始める。

2年前、自分自身を許せない犯罪を犯し別の自分を作り上げたのだ。架空の君は殺人犯ではなく、英雄の連邦保安官で、職務によってここに来て、陰謀を知った。だから自分の話をされても、平然と嘘だ、とはねつける事ができる。この2年間、ずっと同じ話を聞かせれ、もう暗記してしまったほどだ。67番目の患者。嵐。レイチェル・ソランドー。相棒。ダッハウの監視兵殺戮の話も事実かどうか・・・。このまま空想の世界で生かしてやりたいが、君は暴力的だ。しかも訓練されていて危険だ。看護助手、警備員、患者を傷つけ、そしてジョージ・ノイスも襲った。院長は語る。

ノイスの件も、あんたが仕組んだんだろう、俺にノイスを襲う動機はない、とテディが言う。院長は、ノイスが君を”レディス”と呼んだんだ。君が絶対に認めたくないことだ、と言う。

院長は書類を取り出した。昨日のノイスとの会話記録だという。”あんた自身とレディス、それが核心だ”院長が読み上げた。テディは書類を取り、そうだ、俺とレディス、と言うが、院長は”誰に殴られたのか”と君が聞いた時、彼は”お前さ”と答えているだろう、と言った。テディは”俺のせいで”という意味だろう、と言うが、院長は、殺しかけたんだ!と言う。そして、警備隊長と理事達は”処置を下すべき”と。今回ここで君が正気に戻らないと、他人を傷つけぬように最終手段を取る。つまり、君にロボトミー手術を施す、と言う院長。

テディは、よく分かった。あんたらのゲームに付き合わなければ、俺はゾンビにされるわけだ、と言う。チャックはどこだ。あいつも俺のでっち上げだと報告するか?とテディが言っている後ろで、ドアが開き、誰かが入ってくる。チャックだった。スーツを着ている。彼は、やあボス、と言って近づいてくる。混乱するテディ。

どうなってるんだ。話せ、・・・お前もグルなのか?とチャックに言うテディ。君の身を守るため、付き添うものが必要だった、というチャック。俺の監視役か、お前は何者だ?と言うテディ。チャックは、分からないのか?この2年間の君の主治医、シーアンだ、と言った。呆然とするテディ。テディは、俺はお前を信用して、お前を助けるために、あらゆる危険を冒した、それを・・・、と言いかけるが、院長が、時間がない、と遮る。院長は、私は理事会に請合ったのだよ。ロールプレイ治療、つまり君の妄想を実現させてやれば、現実との矛盾に直面し、正気に戻ると。君は2日間、島で自由に過ごした。どこかでナチスの生体実験を見たかね?おぞましい手術は?

頭を抱えて座り込むテディ。チャック・・・、シーアン医師は、アンドリュー聞いてくれ、と話しかける。試みが失敗に終われば、我々のここでの成果はすべて無かったことになる、と。院長はテディの前にしゃがんで顔を見る。そして、我々が戦いに勝利できるかどうかは、君にかかっている、と言う。

突如テディが跳ね起きて、机の上の拳銃を掴んで、動くな、と2人に銃を突きつける。アンドリュー、よせ、と言うシーアン医師。

俺の名前は、エドワード・ダニエルズだ!!叫ぶテディ。この銃には弾が入っている、重さで分かるぞ、というテディ。シーアン医師は、本当に君の銃かね?と聞く。イニシャルがある。以前の銃撃戦の時に銃身についたへこみだってある!と叫ぶテディ。

じゃあ、それを撃って島から出るがいい、という院長。

テディは院長に数発の銃弾を撃ち込み、血飛沫が壁を汚した。

続いてシーアン医師に銃口を向け、迷っていたテディに、院長が、アンドリューやめるんだ、と言う。彼のどこにも傷は無く、壁についた血飛沫もない。

驚いて握っていた銃を見るテディ。それはオモチャの銃だった。銃を両手で折り、俺の銃に何をした、と言うテディ。最初からオモチャだ、と言ってシーアンが近づいてくる。真実を思い出せ、と。

ドロレスは重度のうつ病で自殺願望があった。君は家に帰らず、酒に溺れた。アパートに放火したのは彼女だ、それで湖畔の家に引っ越した。と語るシーアンに掴みかかるテディ。嘘を言うな!タバコで俺をおかしくした!と叫びながら。

院長が引き離そうとするが手に負えない。院長は机にあった3枚のポートレートを手にとって、テディの顔に突きつける。よく見ろ、この写真を、と言って。

子供の死体の写真だった。サイモン、ヘンリー、と言って写真をめくっていく。テディは後ずさりながら、子供はいない、と言う。院長は、君の奥さんが湖で溺死させた、と言って最後の写真を見せる。これが、君の夢に毎晩現れる、あの小さな女の子だ。テディは、娘なんていない、と言う。院長は、夢で娘は君に言う”なぜ助けてくれなかったの?”と、名前はレイチェルだ。わが子の存在まで否定するのか?どうだね?テディは写真を受け取り、レイチェルの死に顔に手を這わせる。「かわいそうに、ベイビー」ドロレスの声が聞こえる。ここに来てはいけないと言ったでしょ?それでおしまいと、ドロレスが近くにいたが言う。娘のレイチェルもテディの前に立っていた。

テディの目から涙がこぼれた。レイチェルが手を差し伸べる。


■悲劇の回想

追っていた事件が解決し、湖畔の家へ帰ってきた、連邦保安官時代のアンドリュー・レディス。

さっそく酒をついで飲みながらドロレスを呼ぶ、家の中には誰もいない。

裏庭を見ると、湖の前のポーチの吊り椅子に座ったドロレスがゆったりと揺られている後姿があった。

アンドリューはドロレスを呼びながら近づいていく。ゆっくりと立ち上がるドロレス。

見ると、ぐっしょりと全身が濡れているドロレス。

「ベイビー?ビショ濡れだよ」アンドリューが言った。

「淋しかったわ」ドロレスが言ってキスをした。

「家に帰りましょ」というドロレスに「ここが家じゃないか」というテディ。子供達が居ない事が気になる。

「子供達は?」と聞くと、「学校よ」と答えるので、「今日は土曜で休みだろ?」と言う。「私の学校は違うの」と訳のわからない答えを言うドロレス。

ふと湖を見ると、何かが浮かんでいた。アンドリューは駆け出し、湖に入っていき、泳いだ。

浮いていたのは、自分の子供達だった。3人とも死んでいた。アンドリューは泣き叫びながら3人を抱え上げ、岸に引き上げる。

庭に3人の遺体を並べて寝かせた。涙が止まらないアンドリュー。

ドロレスはアンドリューに寄り添い、テーブルに座らせましょう、乾いた服に着替えさせて、と言う。私達のお人形よ、というのだ。

アンドリューは、俺のことを愛しているなら黙っていてくれ、と言う。突然ドロレスの表情が歪む。愛してるわ、と言い、泣きながら、私を楽にして、と言う。アンドリューは、泣きながら愛していると言い、ドロレスの腹を撃って射殺する。庭には4人の家族の死体が並んだ。アンドリューはその中で泣き崩れた。


■アンドリュー・レディス[解説

シーアン医師がアンドリュー、と言った。

家族の死の真相を思い出したテディ・・・、アンドリュー・レディスは倒れてしまった。


「レイチェル、レイチェル」とうなされていたアンドリューが気がつくと、ベッドに寝かされ、コーリー院長、シーアン医師と、介護をしてくれている看護婦に囲まれていた。

「レイチェル?」自分の言葉を考えるアンドリュー。

誰のことだ?と聞くシーアン医師。アンドリューは少し考え、レイチェル・レディス、俺の娘だ、と言う。

なぜここに居る?院長が質問する。妻を殺したからだ、と答えるアンドリュー。

なぜ殺したんだ?再度質問する院長。子供達を殺したから・・・。”楽にして”と言われて・・・、というアンドリュー。

テディ・ダニエルズは?と聞くシーアン医師。アンドリューは、存在していない、レイチェル・ソランドーも創作だ、と言う。

なぜ?ちゃんと言うんだ、と院長が質問する。最初に自殺を図ったとき、ドロレスは言ったんだ、”私の脳の中に虫が居るの”と。”脳の中をモゾモゾ動き回って、あちこち線を引っ張ってる”そう言ったのに、俺は耳を塞いだ。俺は本当に愛していた、とアンドリューは言った。

なぜ架空の話を作った?と院長が質問する。彼女のしたことを信じたくなくて、俺が、殺したも同然だ、彼女を助けなかった、と答えるアンドリュー。

院長は、君は9ヶ月前にも一度回復したが、また元に戻ってしまった、と言う。覚えてない、と言うアンドリュー。そうだろうな、リピートされるテープみたいに同じことの繰り返しだ、今度こそ繰り返さないように止めたい、現実を受け入れられるかね?と言う院長。先生は俺を見捨てなかった、先生だけが俺を助けようとしてくれた、と言うアンドリュー。そして居住まいを正し、俺の名前はアンドリュー・レディス、52年の春に妻を殺した、と言う。


■エンディング[解説

穏やかな天気の日。

病院の中庭でたたずむアンドリューに、シーアン医師が「今日の調子は?」と話しかける。「いいよ、そっちは?」と答えるアンドリュー。シーアン医師はタバコを勧め、アンドリューはタバコを吸った。

それで、どうする?と言うアンドリュー。見つめるシーアンに、島を出よう、チャック。ここにいるとロクなことはないぞ、と言う。

シーアン医師は、少し離れていた所で様子を見ていた院長に、残念そうに首を振る。院長はため息をつき、一緒にいたナーリングに何か言う。ナーリング医師は小さく頷く。そして警備隊長が何か指示を出した。

その様子を見ていたシーアン医師に、奴らなんか気にするな、というアンドリュー。

シーアン医師は、苦い顔でタバコを吸いながら、俺たちの方が賢い、と言う。そう、その通り、と言うアンドリュー。

ナーリング医師と、警備隊長、そしてドリルのような道具を布に包んで持っている職員が歩いて近づいてきている。

彼らを見ながら、テディは、ここにいると考える、と言う。どんなことを?とうつむき加減で聞くシーアン医師。

どっちがマシなんだろうな。

モンスターのまま生きるか、善人として死ぬか。

アンドリューはそう言って立ち上がり、ナーリングたちの方へと歩いていく。

シーアン医師が「テディ」と言うが、振り返らない。

アンドリューを見送るように見ているコーリー院長をチラリと見るアンドリュー。

そしてアンドリューは、ナーリング医師と数人の職員、警備員に付き従われ歩いていった。

海辺の灯台は夕焼けで美しかった。


(了)


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